西 加奈子著 小学館
この作品を読むきっかけは、著者と又吉直樹の対談で、又吉が絶賛していた事に始まった。直木賞受賞作でもあり、その魅力を確かめたくなった訳だ。
上巻。主人公の「僕」が幼少期の出来事を語り、その幼い日常を読まされている事に少々退屈を感じる。中巻になると青年期。「僕」は何もかもが上手くいく。しかし、下巻に入ると雰囲気がガラリと変わる。
優しい父、自己中心的な母、そして奇矯な振る舞いを繰り返す姉。ばらばらになる家族。自分は?アイツは「僕」より下のはず…それなのに。嫉妬する。自己嫌悪に陥る。
でも、そのままでは終わらない。何を信じるのか。どう生きるのか。少々哲学的な印象。人物の心の内を読み取れる言葉の表現力が良いなと、そう思いました。